ブラームス『ドイツ・レクイエム』/ウィーン楽友協会合唱団2009/10/24 22:18

今日はウィーン音楽祭2009 in OSAKAの最後を飾る『ドイツ・レクイエム』がいずみホールでありました。

1812年設立されたウィーン楽友協会。合唱団は1858年にウィーン楽友協会の付属団体として設立され150年の歴史を持ちます。1867年には最初の3楽章だけですが『ドイツレクイエム』を初演。その合唱団の来日公演はなんとカラヤンとともにヴェルディのレクイエムの演奏で来日してから実に30年ぶりとのこと。

指揮は大植英次で管弦楽は音楽監督を務める大阪フィル。弦は12型、管とハープのほかにパイプオルガン。

第1楽章、ヴァイオリン、ピッコロ、クラリネット、トランペットなど明るい音色を使わず静かに始まりしっとりと「悲しむものは幸いである」と始まると、もうそれだけでぐっときてしまいます。第2楽章、「草は枯れ、花は散る」の部分も美しく、中間部の「見よ、農夫は実りを~」でハープとピッツィカートで歌われる部分は天上の響き。再び「人はみな草のごとく」がフォルテで歌われる部分の力強さ。第3楽章で三原さんのバリトンは力強く、第5楽章のソプラノは母の愛と慰めを釜洞さんがやさしく歌う。第6楽章でおそらく初めて合唱にフォルテッシモが出てくる部分「ラッパが響いて~」で頂点を築き、その後壮麗なフーガで主を讃えるこのあたりも見事。第7楽章は一転穏やかに死による安息を「労苦を解かれて休み~」と歌われる部分、再びしっとりと歌われ、ハープの上昇する分散和音と管楽器の弱音でそっと曲を閉じる。
曲を終え、大植さんが手を下ろすまで、おそらく30秒くらいの静寂。この静寂こそ今日の演奏のすばらしさを物語るものだったと思います。

ウィーン楽友協会合唱団はとにかくどの声部もオーケストラに負けない力強さがあり、弱音も美しく温もりがあり、ブラームスの信仰告白たるドイツ・レクイエムにふさわしい歌声と演奏でした。
シンフォニーホールで大勢に聴かせたいという意見も聴かれましたが、総勢75名ほどの合唱がホール全体を隅々まで充実した響きで満たす、この幸せはやはりいずみホールで聴くからこそ体験出来るものだと思います。

今回の来日ではこの大阪公演のみ。ムジークフェラインを模したいずみホールのウィーン楽友協会との協力関係により初めて実現した快挙だと思います。次の来日公演をまた近いうちに聴けるように祈ります。

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