大阪シンフォニカー第130回定期 ― 2008/12/04 22:18
他の楽団が合唱を伴ったり大規模な編成の曲を多くプログラムに載せるのとは対照的に、あまりエキストラを入れずに緻密なアンサンブルを聴かせてくれる大阪シンフォニカーは私の好きな楽団です。
今日はその大阪シンフォニカーの定期演奏会でした。
本日のプログラムはオール・ラフマニノフでピアノ協奏曲の3番と交響曲の3番で、題して『ラフマニノフ3』。協奏曲も交響曲もどちらも人気と言えば2番が特に有名ですね。ピアノ協奏曲の第3番と言えば映画『シャイン』を思い出す方もいるかも知れません。
ソリストは清水和音さん、指揮は秋山和慶さんです。
まずは1曲目の協奏曲は、清水さんのピアノはすばらしかったのですが、少し乗りきれていない感じ。オケとも息ぴったりとは行かず、全体的には良い演奏だったのですが、あと一息、煮え切らない感が残りました。というのもこの組み合わせならもっと出来ると思うからです。
後半の交響曲は楽しめる演奏でしたが、エキストラが多めのせいか、いつものシンフォニカーサウンドが奏でられなかったように思います。
大音量でもバランス感を崩すことなく細部まで気を配った秋山さんの指揮は非常に良かったですね。
今回が初顔合わせとのこと。次回の再協演が楽しみです。
今シーズンのロベルト・フックスやアッテルベリの日本初演などに引き続き、来シーズンもツェムリンスキーやマルティヌー、オネゲルにフランツ・シュミットと意欲的なプログラムが続きます。
独創的なプログラムでシンフォニカーらしい音楽を聴けるのが楽しみです。
今日はその大阪シンフォニカーの定期演奏会でした。
本日のプログラムはオール・ラフマニノフでピアノ協奏曲の3番と交響曲の3番で、題して『ラフマニノフ3』。協奏曲も交響曲もどちらも人気と言えば2番が特に有名ですね。ピアノ協奏曲の第3番と言えば映画『シャイン』を思い出す方もいるかも知れません。
ソリストは清水和音さん、指揮は秋山和慶さんです。
まずは1曲目の協奏曲は、清水さんのピアノはすばらしかったのですが、少し乗りきれていない感じ。オケとも息ぴったりとは行かず、全体的には良い演奏だったのですが、あと一息、煮え切らない感が残りました。というのもこの組み合わせならもっと出来ると思うからです。
後半の交響曲は楽しめる演奏でしたが、エキストラが多めのせいか、いつものシンフォニカーサウンドが奏でられなかったように思います。
大音量でもバランス感を崩すことなく細部まで気を配った秋山さんの指揮は非常に良かったですね。
今回が初顔合わせとのこと。次回の再協演が楽しみです。
今シーズンのロベルト・フックスやアッテルベリの日本初演などに引き続き、来シーズンもツェムリンスキーやマルティヌー、オネゲルにフランツ・シュミットと意欲的なプログラムが続きます。
独創的なプログラムでシンフォニカーらしい音楽を聴けるのが楽しみです。
ブルックナー ― 2008/12/06 13:08
宗教曲が豊作と書いたのですが、よく考えるとブルックナーのテ・デウムやミサ曲はなかなか実演では聴けないですね。ミサ曲第3番などはぜひとも生で聴いてみたい曲ですが、その機会がありませんでした。
しかしブルックナーと言えばなんといっても交響曲。大阪シンフォニカーの音楽監督に就任した児玉宏さんのブルックナーシリーズに引き続き、大阪センチェリーも音楽監督の小泉和裕さんの指揮でブルックナーシリーズが始まります。1シーズンに4,5,6番の3曲を取り上げるという意欲的なもの。ひょっとしたらライブCDなんかも出す予定なのかも知れません。
朝比奈隆&大フィルではたびたび聴いたブルックナーですが、CDはそれほど持っていませんでした。しばらく大規模なオーケストラ曲よりも室内楽をメインに聴いていたのですが、ここ数年再びブルックナーに興味が湧き聴いてみると、第一稿による演奏も増えていて新しい発見が多くあり、あれよという間にCDが増えていってしまいました。
1番や3番など比較的演奏機会が少ないものも今年は聴く機会に恵まれました。
しかしブルックナーと言えばなんといっても交響曲。大阪シンフォニカーの音楽監督に就任した児玉宏さんのブルックナーシリーズに引き続き、大阪センチェリーも音楽監督の小泉和裕さんの指揮でブルックナーシリーズが始まります。1シーズンに4,5,6番の3曲を取り上げるという意欲的なもの。ひょっとしたらライブCDなんかも出す予定なのかも知れません。
朝比奈隆&大フィルではたびたび聴いたブルックナーですが、CDはそれほど持っていませんでした。しばらく大規模なオーケストラ曲よりも室内楽をメインに聴いていたのですが、ここ数年再びブルックナーに興味が湧き聴いてみると、第一稿による演奏も増えていて新しい発見が多くあり、あれよという間にCDが増えていってしまいました。
1番や3番など比較的演奏機会が少ないものも今年は聴く機会に恵まれました。
オットの超絶技巧練習曲 ― 2008/12/18 22:04

かなり前から名前は知っていて、NHK等でも演奏が収録・放送されていたので、放送で演奏も聴いたことがあります。比較的良く来日し演奏会もしていたにも関わらず、これまでスケジュールが合わず聴くことが出来ないでいたのですが、ようやくアリス=紗良・オットの演奏を聴くことが出来ました。名門グラモフォンとの契約&CD発売記念リサイタルで、演目は超絶技巧練習曲全曲です。
フランツ・リストの超絶技巧練習曲は、リサイタルで数曲ピックアップしたり、アンコールで弾くことはあっても、全曲をリサイタルで弾くというのは滅多に無いことです。最近リストの曲をまとめて聴いたのは、数年前に開催された、いずみホールの3人のピアニストによるリストシリーズ。その時の一人は奇しくも日本デビューに超絶技巧練習曲集全曲をリリースした小菅優さんでした。そういえばあのときのケマル・ゲキチも凄かった。
さて、オットさんの演奏ですが、さすがに完成度が高く、技巧を誇示することもなく、まとめ上げていきます。
驚いたのは、そのパワー。とてもダイナミックレンジが広く、大音量だけでなく、弱音での繊細さも表現して魅了していきます。その演奏に引き込まれたのか、会場は曲間もほとんど静寂に包まれ、緊張感を持って耳を傾けているようでした。
もの凄い演奏、そう呼べるものでしたが、いま一歩感動に引き込む何か、間とでもいうもの、が欠けていたようです。
しかし、全曲を演奏することに意味があるという彼女のこと。『前奏曲』からはじまり、『回想』から『雪あらし』への流れの中で、それを表現できるのもまもなくだろうと思います。
まだ20歳のオットさん。演奏中の厳しい表情から喝采に包まれたときの微笑みと、ブラヴォーの声にこぼれる笑顔。また聴きたいと思えた一夜でした。
アンコールはラ・カムパネラとショパンの遺作イ短調のワルツ。
フランツ・リストの超絶技巧練習曲は、リサイタルで数曲ピックアップしたり、アンコールで弾くことはあっても、全曲をリサイタルで弾くというのは滅多に無いことです。最近リストの曲をまとめて聴いたのは、数年前に開催された、いずみホールの3人のピアニストによるリストシリーズ。その時の一人は奇しくも日本デビューに超絶技巧練習曲集全曲をリリースした小菅優さんでした。そういえばあのときのケマル・ゲキチも凄かった。
さて、オットさんの演奏ですが、さすがに完成度が高く、技巧を誇示することもなく、まとめ上げていきます。
驚いたのは、そのパワー。とてもダイナミックレンジが広く、大音量だけでなく、弱音での繊細さも表現して魅了していきます。その演奏に引き込まれたのか、会場は曲間もほとんど静寂に包まれ、緊張感を持って耳を傾けているようでした。
もの凄い演奏、そう呼べるものでしたが、いま一歩感動に引き込む何か、間とでもいうもの、が欠けていたようです。
しかし、全曲を演奏することに意味があるという彼女のこと。『前奏曲』からはじまり、『回想』から『雪あらし』への流れの中で、それを表現できるのもまもなくだろうと思います。
まだ20歳のオットさん。演奏中の厳しい表情から喝采に包まれたときの微笑みと、ブラヴォーの声にこぼれる笑顔。また聴きたいと思えた一夜でした。
アンコールはラ・カムパネラとショパンの遺作イ短調のワルツ。
ソフィア・グバイドゥーリナ ― 2008/12/23 00:43
先日、いずみホールでの上原彩子さんのリサイタルを聴いてきました。
お目当てはプロコフィエフのソナタ第8番だったのですが、その前に演奏されたグバイドゥーリナのシャコンヌも非常に良かった。
グバイドゥーリナはいわば特異と言える作曲家ですが、その曲に始めて出会ったのは20年ほど前、ヨーヨー・マとクレーメルらによるショスタコーヴィッチの弦楽四重奏第15番を収録したCD。その衝撃的なカルテットとともに収録されていたのがグバイドゥーリナのREJOICE!でした。
おそらく多くの方がその名を目にしたのは、最近アンネ・ゾフィー・ムターがリリースしたバッハとカップリングされたヴァイオリン協奏曲でしょう。
その少し前に、グバイドゥーリナのヨハネ受難曲を聴いたのですが、彼女らしい経を読むような旋律と、福音書と黙示録から言葉の韻を重視するかのようにセンテンス、あるいは単語毎につなぎ合わせ、さらに執拗に繰り返すというスタイルの曲に衝撃を受けつつ、聖書片手に夜更けに聴いていたのでした。
上原さんのリサイタルでグバイドゥーリナの曲があるというのは意識していなかったのですが、初期の曲にもかかわらず、後の特異性はまだ表れていないにもかかわらず、やはり独特の味がありました。もう一度聴きたい、と録音が無いか探してみたところ少数ながら存在しており、その中からピアノ作品集を手配してしまいました。上原さんも録音しないかなぁ。
ソフィア・グバイドゥーリナ、拒否反応を起こす可能性が高い作曲家かもしれませんが、機会があれば一度聴いてみてください。
お目当てはプロコフィエフのソナタ第8番だったのですが、その前に演奏されたグバイドゥーリナのシャコンヌも非常に良かった。
グバイドゥーリナはいわば特異と言える作曲家ですが、その曲に始めて出会ったのは20年ほど前、ヨーヨー・マとクレーメルらによるショスタコーヴィッチの弦楽四重奏第15番を収録したCD。その衝撃的なカルテットとともに収録されていたのがグバイドゥーリナのREJOICE!でした。
おそらく多くの方がその名を目にしたのは、最近アンネ・ゾフィー・ムターがリリースしたバッハとカップリングされたヴァイオリン協奏曲でしょう。
その少し前に、グバイドゥーリナのヨハネ受難曲を聴いたのですが、彼女らしい経を読むような旋律と、福音書と黙示録から言葉の韻を重視するかのようにセンテンス、あるいは単語毎につなぎ合わせ、さらに執拗に繰り返すというスタイルの曲に衝撃を受けつつ、聖書片手に夜更けに聴いていたのでした。
上原さんのリサイタルでグバイドゥーリナの曲があるというのは意識していなかったのですが、初期の曲にもかかわらず、後の特異性はまだ表れていないにもかかわらず、やはり独特の味がありました。もう一度聴きたい、と録音が無いか探してみたところ少数ながら存在しており、その中からピアノ作品集を手配してしまいました。上原さんも録音しないかなぁ。
ソフィア・グバイドゥーリナ、拒否反応を起こす可能性が高い作曲家かもしれませんが、機会があれば一度聴いてみてください。
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