大阪交響楽団第151回定期/スダーン2010/12/08 23:00

ピアノ独奏に小菅優さん、指揮にユベール・スダーンを迎えての定期演奏会。
プログラムは
ベートーヴェン/序曲「コリオラン」Op.62
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」Op.80
ルーセル/交響曲第4番

コリオランは勢いのある演奏で、音にも厚みがありベートーヴェンらしさがよく現れていました。
続くピアノ協奏曲。小菅さんは最近繊細な表現にも目を向けているようで、ピアノ独奏から始まる冒頭もスコアの指示のピアノではなく、ピアニッシモという風で曲に入りました。しかしながら本来(楽器の)ピアノが(指示記号の)ピアノでやや弱く入った後、オーケストラはさらに弱くピアニッシモで受けるところがフォルテに聞こえてしまう大きさで、小菅さんが表現したい世界とは別の、指揮者は我が道を行くと言う風な雰囲気です。
その予想は当たり、ピアノが間をとってゆったりと旋律を奏でても、オーケーストラは元のテンポでさっさと進んでしまう。このため焦りか力みのせいか1楽章のカデンツァの後半では途中で不自然になってしまいましたが、アイコンタクトでスダーン氏にうまく流れを止めずにつなぐことができたのはさすが。
小菅さんの繊細な表現は2楽章でも同様で、最後などもピアノの分散和音最後のホ音もかろうじて音が聞こえるかどうかと言うくらいの音でした。
ただ、小菅さんは十分力強い音を出せるのですが、全体的にピアノがオーケストラの音に埋もれてしまう部分もあり、やはり独奏者の表現と指揮者の目指すところの違いが現れてしまったように感じます。

後半、ペリアスとメリザンドはフランスものですが、さらっとあっさりした印象の演奏。
さて最後には実演は珍しいルーセルの交響曲第4番。リズミカルな躍動感とダイナミックな曲想は、思い切りよく表現しており、この日はこの曲が一番楽しめました。